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顔認証(顔認識)システムとは?仕組みやメリット・活用シーンまで詳しく解説

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スマホやパソコンのログイン認証で当たり前になった顔認証ですが、実は、テーマパークやイベント会場など、さまざまな場所で利用されています。
一方で、「顔認証の仕組み」や「活用シーン」が具体的にイメージできないという方も多いのではないでしょうか。

また、現在においても大人数が集まる場所ではマスクを着用する機会もあり、マスク着用時の顔認証について考える必要もあるでしょう。
業務効率化や非接触認証などの要因もあり、活用が広まりつつある顔認証システムの仕組みやメリット、活用シーンについて解説します。

顔認証(顔認識)システムとは

顔認証システムとは、カメラで検出した顔データを識別子、本人であることを認証するシステムです。

顔認証(顔認識)の仕組み

顔認証カメラにより認証者の顔の特徴点(目・鼻・口の位置や輪郭)を検出し、事前に登録された顔データとのマッチングを行なう仕組みになっています。
高い認証精度を誇る製品・サー

ビスではマスクやサングラスを着用していても本人の認証を行なうことが可能です。

顔認証(顔認識)システムの特徴

生体認証のひとつである顔認証ですが、他の方式と比較して「完全非接触」「複数人の同時認証」が大きな特徴と言えます。

完全非接触
認証デバイスへのタッチ操作などが不要で、カメラに顔をかざすだけで認証が完了します。
認証の手軽さも魅力ですが、不特定多数の人物が同じデバイスに触れることに抵抗を感じる方の心理負担を無くす効果も期待できます。

複数人の同時認証
製品によっては、複数人の顔を同時に認証することも可能です。
イベント会場や遊園地など、大人数が同時に出入りする環境で使いやすく、ストレスフリーな認証を期待することができます。

機械学習技術の発展やハードウェアの性能向上もあり、近年の顔認証システムの認証精度・認証速度は大きく向上しています。

顔認証(顔認識)システムの活用シーン

顔認識は、以下のようなシーンなどに活用できます。

1.店舗でのマーケティング活用
2.人員配備や導線設計への活用
3.不審者の検知

4.従業員の勤怠や入退室管理

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.店舗でのデータ収集・マーケティング活用

顔認識では、特徴点などから来店者の年齢や感情などが読み取れます。具体的に「どのような層が来店しているのか・商品を目にしたときにどのような感情なのか」を把握できれば、非購買層に向けたマーケティングにも活用することができます。

分析した結果を活用すれば、ディスプレイに表示されるタイプの広告「デジタルサイネージ」に、来店客の属性に合わせた情報提供も容易です。

2.人員配備や導線設計への活用

顔認識システムは、施設やイベントなどでの人流・滞留の検知にも活用されています。導線上で滞留しやすい箇所を可視化して分析すれば、人員配備や導線設計などに役立てることができます。店舗や施設運営の効率化や、倉庫内の作業効率化にも活用可能です。
人流のデータは、平面図上にマッピングすることもでき、滞留時間を元にしたヒートマップを表示できるシステムもあります。

3.不審者の検知

顔認識システムを導入すれば、不特定多数が出入りする公共施設やイベント会場などで「不審者の侵入」を事前に検知することができます。学校のように高いセキュリティレベルが求められる現場にも適しています。

警備員の目視による不審者の特定には、どうしても限界があります。顔認識システムを活用すれば、広範囲の不審者を検知できるだけではなく、警備にかかるコスト削減も可能です。

4.従業員の勤怠や入退室管理

オフィスや機密性の高い区画の出入り口に顔認証端末を設置することで、従業員の出退勤や区画への入退室を管理することができます。
タイムカードやICカードと比較して、打刻忘れやミスを削減できるほか、代理打刻やカード貸し借りなどの不正行為の防止にも繋がるでしょう。

顔認証による勤怠管理や入退室管理に関しては、下記をご覧ください。

▶︎ 勤怠管理を楽にする顔認証とは?作業を効率化して生産性の向上を目指そう

顔認証システムの導入事例

顔認証システムは様々な場所で利用されるようになりました。
実際の顔認証活用例を紹介します。

入館時の社員認証

東京建物株式会社では、本社ビルの移転に伴い顔認証システムを導入しました。
入館ゲートや各区画に顔認証システムを設置し、本社ビル内の入退室管理に活用しています。
フリーアドレスを採用している同社では、機密区画はもちろん共有スペースや会議室の入退室にICカードを利用していました。
そのため、紛失や盗難のリスク、自宅にICカードを忘れて出社してしまった際の対応、カード発行や管理の手間が課題でしたが、顔認証システムによりそれらの課題を払拭しています。

▶︎ 顔認証アクセス 導入事例 東京建物株式会社

顔認証決済

ファーストキッチン株式会社では、一部店舗に顔認証決済を試験導入しました。
キャッシュレスの流れは全国的に広がっており、顔認証決済は今後の普及が期待される方式です。
多くのお客様来店する同社では、注文から決済完了までの時間短縮はお客様の利便性向上や、従業員の工数削減に大きな影響を及ぼします。
試験導入の結果、顔認証決済により15秒ほどの短縮を見込めると評価しており、顔認証決済の普及により大幅な業務改善を期待できるのではないでしょうか。

▶︎ 顔認証決済 導入事例 ファーストキッチン株式会社

800名のスタッフの業務効率化

物流センターを運営・管理している住商グローバル・ロジスティクス株式会社は、自社の物流センターに顔認証システムを導入しました。
800名のスタッフが働くセンターでは出退勤時に長蛇の列ができており、スタッフの時間を奪ってしまうほか混雑によるストレスや感染リスクも無視できません。

そこで、指静脈認証による打刻から顔認証に切り替え、スムーズな出退勤や菌体システムとの連携を実現しています。出退勤するスタッフはもちろん、管理担当者側からもデータ登録やデータ更新の容易さが評価されているようです。

▶︎ 顔認証アクセス 導入事例 住商グローバル・ロジスティクス株式会社

顔認証(顔認識)システム導入のメリット

顔認証システム導入のメリットは用途によって様々ありますが、例えば、以下のようなものがあります。

1.来店者のデータ分析ができる
2.混雑緩和につながる
3.迷子や徘徊を顔認証カメラで検知できる
4.万引き防止につながる
5.安心感を可視化できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.来店者のデータ分析ができる

前述の通りですが、顔認証は、「非購買層」の行動原理の分析にも使えます。顔認証システムが搭載する顔認識機能を活用すれば「非購買層」の行動原理分析を行なうこともできます。
購買層のデータはPOSレジから収集できますが、非購買層のデータは取得できません。しかし、顔認証システムにより購買層・非購買層を問わず多くの来店客情報を収集し、年齢や表情などのデータから行動原理の分析などができるようになります。

非購買層の動向を分析すれば、課題が商品にあるのか、導線なのか、あるいは接客なのかといった仮説立てに役立ち、商品の購入へとつなげられるかもしれません。

2.混雑緩和につながる

顔認証システムは混雑緩和にも有効です。たとえば、一部の空港では、帰国時にパスポートの画像と顔の照合結果が一致すると自動的にゲートが開く顔認証技術システムが採用されています。

▶︎ 空港のゲートでも活躍する顔認証システム。活用シーンや顔認証の強みを紹介!

3.迷子や徘徊を顔認証カメラで検知できる

迷子になった子供の顔画像を登録すれば、防犯カメラを使って捜索することができます。はぐれてしまった高齢者を探したいときなどにも役立つでしょう。ライブカメラだけではなく、保存済み映像からの検出が可能なシステムもあります。

4.万引き防止につながる

顔認証システムを導入することにより、防犯カメラの映像から不審な動作を検知したり、万引き常習者の情報を共有できます。
その人物が入店したときに店員へアラートを送信するよう設定することも可能です。
万引き常習者を事前に把握できれば、さらなる被害の防止につながるでしょう。実際に、万引き防止目的で情報の共有を開始している店舗も存在しています。

5.安心感を可視化できる

顔認証システムには、温度検知機能を備えているものもあります。顔認証と温度検知を同時に実施し、異常温度を瞬時に検知、入館を制御することで、安心感を可視化できます。
非接触による自動温度検知なので感染リスクが低減でき、衛生面も安心です。フロアスタンドや卓上スタンド、壁への取り付けなどといった多彩な設置方法を選択できるため、活用シーンの幅も広がります。

▶︎ 顔認証にはどんなメリット・デメリットがあるの?活用シーンもあわせて紹介

顔認証(顔認識)システムを導入する際の注意点

顔認証システムを導入する際の注意点は3つあります。

1.製品によって認識レベルに差がある
2.環境によって認識の精度が落ちる
3.顔データを安全に管理する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.製品によって認識レベルに差がある

認証速度や精度は、使用する顔認証システムによって差があります。
たとえば、顔の経年変化や髪型の変化を認識できなかったり、マスクやメガネの着用に対応していなかったりするケースもありますので、導入前の確認は必須です。
自社が求める品質の顔認証システムであることを事前に確認しなければ、多額のコストだけを支払い効果を得られないケースも考えられます。

2.環境によって認識の精度が落ちる

顔認証システムのなかには、逆光に弱く屋外で使用できないタイプがあります。使用できても極端に暗い場所や明るい場所では認識精度が落ちる製品もあるので、導入前に確認しましょう。
顔認証システムの利用場所によっては、水滴や埃などの耐性があるかどうかをチェックする必要もあります。

3. 顔データを安全に管理する

「顔」は重要な個人情報なので、データの取り扱いには細心の注意を払う必要があります。個人情報保護法でも、顔に関するデータは「個人情報」と定義されています。
顔認証システム導入後のトラブルを防ぐためには、「利用目的を本人に通知・公表したうえで運用する」「利用目的を超えたデータの乱用をしない」などの規定を事前に設ける必要があります。

顔データの安全な管理に不安がある場合は、顔認証システムを提供するベンダーのクラウド環境に顔データを保存できるサービスを検討すると良いでしょう。

※参考:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン

顔認証の問題点や個人情報についてこちらで詳しく解説しています。
▶︎ 顔認証の問題点や危険性とは?リスクと対策方法について解説
▶︎ 顔認証でビジネスはどう変わる?個人情報保護法を踏まえた顔認証システムの利活用とは

顔認証(顔認識)システムの導入は慎重な検討が大切

様々なシーンで活用でき、認証作業の簡略化や不正防止に役立つ顔認証システムですが、導入にはある程度のコストが発生します。
自社で想定している顔認証システムの活用シーンはなんなのか、どの程度の認証速度や精度が必要なのかを明確にして顔認証システムを選定しましょう。

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