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オフィスや管理区画の入退場に利用する入館証は、ひとたび紛失すれば重大なセキュリティインシデントとなります。

入館証を貸与されている従業員は紛失を起こさないよう様々な工夫をしていますが、人間が管理する以上、絶対はありません。
従業員としても対処に限界があり、企業としては紛失により多大な被害を受けてしまう入館証の取り扱いに悩む方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、入館証紛失におけるリスクや原因、紛失を防ぐためにはどのような対策が考えられるのかを解説します。

入館証紛失のリスク

入館証を紛失した場合、実害が確認されなくても重大なインシデントとして扱うことが一般的です。紛失してしまった時点で様々な悪影響が懸念されるためです。
多くの場合、下記の悪影響が考えられます。

セキュリティリスク

オフィスや特定区画への入室権限を持つ入館証は、悪意のある第三者の手に渡れば重大なセキュリティ事故に繋がる可能性が極めて高いと言えます。
拾った入館証を悪用してオフィスへ侵入し機密情報を盗み出すことや、金銭目的で別の人間の手に渡ってしまうケースも考えられるでしょう。

社会的信用への影響

入館証を紛失することが重大なインシデントであることは、多くの方が理解している共通認識と言えます。
そのため、他社の入館証が道ばたに落ちていることを発見したら、少なからずその入館証に書かれている企業や個人の信用は損なわれてしまうでしょう。
自社の重要情報を預けている企業でこのようなインシデントが発生すれば、取引の見直しや説明を求めることも考えられます。

企業としての対応

入館証を紛失してしまった従業員には何らかの処分が下されますが、企業として対外的な対応が必要になるケースも考えられます。
紛失したのは従業員個人であっても、取引先や顧客は企業に対して説明や改善を求めるためです。
協力会社の要員による紛失であれば、企業間の話し合いも必要となるでしょう。

このように、紛失発覚後に入館証の権限を停止し、従業員に処罰を与えるだけで事態が収束するとは限りません。
従業員本人はもちろん、企業としても大きなダメージを被る恐れがあります。

なぜ入館証の紛失が起こるのか

入館証の紛失はどのようなケースで発生するのでしょうか。

ずさんな管理

入館証を保持したまま飲酒する、不用意に入館証を手元から離してしまうなどの取り扱いを日常的に行なっているケースです。
本来入館証は厳重に管理しなければなりませんが、セキュリティ意識が希薄であると悪意無く不適切な取り扱いをしてしまう場合があります。

疲労やストレスによる注意力低下

日常的に入館証の取り扱いに注意していても、コンディションによって注意力が低下してしまうことは誰にでも起こり得ます。
各従業員のコンディションに起因した事故を防ぐことは、現実的には困難ではないでしょうか。

予期できないトラブル

入館証を適切に管理していても、ひったくり等のトラブルに巻き込まれてしまえば紛失に繋がる可能性があります。
管理方法に関わらず、確実にトラブルを避けることは難しいでしょう。

どのような管理をしていても、入館証紛失のリスクをゼロにすることは困難であると考えられます。

入館証の紛失対策

前述の通り、入館証を厳重に管理しなければならないことを認識していても、紛失の可能性を0にすることは困難です。
どのような対策が考えられるのでしょうか。

入館証取り扱い方法の周知・教育

入館証を厳重に管理する重要性を従業員それぞれの認識に任せるのではなく、企業として周知することが大切です。
新入社員はもちろん、入館証自体を利用しない職場も多くあり、そのような企業から転職した方にも正しい入館証の取り扱い方を説明する必要があります。
ストラップを常に利用し身体から離さない、カバンの定位置にしまう癖をつける、カードケースから抜け落ちないよう補強するなど、具体的な方法を説明するとよいでしょう。
また、日頃から紛失の危険性がある取り扱いをしている従業員に対して指導や是正を求める姿勢も極めて重要です。

スマートタグ等の紛失防止対策

スマートフォンなどのデバイスと連携し、一定以上距離が離れた場合にアラートを鳴らすスマートタグが各社から発売されています。
置き忘れや落とし物を防止できるほか、紛失していることに素早く気づくことにも繋がります。

生体認証の導入

入館証ではなく、生体認証による入室管理システムであれば紛失のリスクを0にすることが可能です。
生体認証は身体の情報を利用するため、物理的な入館証を持ち歩く必要がなくなるからです。
生体認証には「指紋」「虹彩」「静脈」「顔」など、様々な種類があります。
認証に必要なモノを管理する必要がなく、なりすましの防止にも繋がることから今後の入退室管理には生体認証が一般的になっていくと考えられます。

このように、入館証の紛失を防止するためには従業員個人の注意だけではなく、企業として取り組むことが大切です。
また、生体認証の導入は根本的に紛失のリスクを解決できる有効な手段と言えます。

顔認証システムによる入退室管理のメリット・デメリット

オフィスや特定区画の入退室管理であれば、「顔認証システム」の活用が有力な選択肢のひとつとなります。
ここでは、顔認証システムの活用を検討する時に知っておきたいメリット・デメリットを紹介します。

メリット

1.非接触環境の実現
コロナ禍以降、非接触需要は急速に拡大しました。
顔認証はカメラにより顔情報を読み取ることで認証を行なうため、完全に非接触の環境を実現でき、衛生的な認証方式であると言えます。

2.複数人の同時認証
入館証を利用する入退室時の認証は、複数人が同時に認証を行なうシーンでは順番待ちが発生します。
多くの場合は数秒から数十秒の待ち時間ではありますが、日常的に発生すれば年間を通じた待ち時間の合計は無視できない数字になる可能性もあります。
複数人を同時に認証可能な顔認証システムであれば混雑を緩和し、スムーズな入退室を実現することが可能です。

3.人物の特定
顔情報により認証を行なうため、認証を行なった人物を特定することが可能です。
入館証の場合は、「入館証に設定された識別子」と「その識別子の入館証を持っている人物」の紐付けをして入退室した人物を特定します。
そのため、なりすましが可能な環境となってしまい、内部不正のリスクや第3者の侵入に対して脆弱な環境となる恐れがあります。
紛失せず貸し借りもできない顔認証システムであれば、このようなリスクを排除することが可能です。

4.体調管理
顔認証カメラは、認証時に温度検知を行なう機能が搭載されているものもあります。
近年では医療機関や施設などの出入り口に設置されていることを見かけた方も多いのではないでしょうか。
温度検知機能を実現することで、従業員や来客者の体調を簡易的にチェックすることができます。
新型コロナウイルスの対策に限らず、インフルエンザや日常の体調不良の早期発見に繋がると考えられます。

デメリット

1.データ管理に注意が必要
顔情報は個人を特定することができる「個人情報」に該当します。
顔情報には従業員の個人情報や人事情報も紐付けて運用するケースが多く、情報漏洩が起こった場合の影響やリスクは大きなものになると考えられます。
そのため、厳重なデータ管理方法を検討し、各従業員の同意を得ることを前提とした導入が必要です。

また、顔認証システムを提供している事業者のクラウド環境に保存できるサービスも存在しています。
100%の安全性が保証されるわけではありませんが、一般的なオフィス内のサーバー室よりも強固なセキュリティ対策を施された環境であることが一般的です。
データ保護や管理の観点では、そのようなサービスを活用することも有効と考えられます。

多くのメリットが存在する顔認証システムは、今後も活用が広がることが予想されます。
適切な運用を自社で行なうことが可能であれば、認証システムとして有力な選択肢と言えるのではないでしょうか。

顔認証システムによる入退室管理の導入事例

株式会社レアジョブでは、オンプレのICカードによる入退室システムを導入していましたが、当該システムの保守期間が終了してしまい、今後の安全性等を鑑みて入退室システムのリプレイスの検討がはじまりました。

ICカードの紛失やセキュリティリスクの低減を目的として、顔認証システムの導入を決めました。さらに、入退室と同時に温度検知や勤怠管理も行うことができることも評価されています。

▶︎株式会社レアジョブの導入事例詳細

人間の注意だけではなくシステムによる対策を

入館証の紛失は、紛失した人間の責任として処理するケースが多くありますが、企業としては該当の従業員の問題ではなく、入館証を必要とする環境の問題にも目を向けることが大切です。
従業員が可能な限り厳重な管理を心がけていても、紛失するリスクを0にすることは極めて困難であるためです。
この問題を解決するためには、入館証自体が不要な環境を整備することが確実であると考えられます。物理的なモノを管理する必要が無い生体認証であれば、紛失や盗難のリスクを大きく削減することが可能です。

特に顔認証システムは入館証の代替システムとして相性が良く、非接触による複数人の同時認証や来客対応の自動化など、入館証を利用するよりも効率的かつ安全な環境を実現することができます。

入館証紛失による事故防止のためにも、新しい認証システムの検討は企業にとって有益と言えるのではないでしょうか。

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