コラム

万引被害に苦しむスーパーマーケット。顔認証システムは解決の一手となるか?

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現代の生活になくてはならないスーパーマーケットですが、社会情勢や人材不足など多くの問題を抱えています。
さらに、長年スーパーマーケットのような小売店を苦しめているのが「万引き」です。
万引き被害額は2014年度の推定で857億円※1に達しており、努力や工夫を続ける企業に大きな打撃を与えています。

なぜ、万引きは後を絶たず、撲滅へ向かわないのでしょうか。
そこには手口の巧妙化や店舗側の人手不足など、多くの障壁があります。

この記事では、顔認証システムによる万引き対策を中心に、店舗のセキュリティ向上について考えます。

※1 参考 全国万引犯罪防止機構 全国小売業万引被害実態調査分析報告書
https://www.manboukikou.jp/01/wp-content/uploads/2020/08/%E3%80%8E%E7%AC%AC10%E5%9B%9E%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%B0%8F%E5%A3%B2%E6%A5%AD%E4%B8%87%E5%BC%95%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E5%AE%9F%E6%85%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%80%8F-.pdf

後を絶たないスーパーマーケットの万引被害

薄利多売のビジネスモデルが主流のスーパーマーケットにおいて、万引被害は特に大きな問題です。
少額の被害であっても、それを取り戻すためには多くの商品を売らなければなりません。
利益率10%の商品を1つ万引きされた場合、それを取り戻すためには単純計算で同じ商品を10個売り上げなければなりません。
綿密な仕入れ計算やコスト削減施策を経て販売されている商品ですので、実質的な被害は商品の金額以上になると言ってもいいでしょう。

もちろん、店舗側も万引きを黙って見過ごしているわけではありません。
要注意人物の監視強化や情報共有、専門スタッフの雇用など可能な限りの対策は行っています。

それでも万引被害が後を絶たない原因として、以下の事項が考えられます。

1.不審者監視の限界

過去に万引きを行った人物や、不審な行動をしている人物は従業員間で情報共有し、注意を向けることはできるでしょう。
しかし、その時点で万引きを行っていないのであれば、後をついて回るようなことはできません。
従業員は通常業務を行いながらその人物にも注意を向ける状態になるため、一瞬のスキをつかれてしまえば見逃してしまっても不思議はありません。

2.店舗の広さ、商品の多さ

多くの商品を取り扱うスーパーマーケットは、店舗も広くなります。
それに比例して従業員や監視カメラも多くなりますが、死角ができやすく監視に必要な従業員の工数も増えてしまいます。

3.万引き対策のコスト

専門スタッフの雇用や監視カメラの追加など、直接的に万引き対策の質を向上させる方法はあります。
ただ、そのコストは店舗運営を圧迫し、万引きを減らせても店舗の利益は減少してしまうことになりかねません。

このように複数の状況が原因となり、十分な対策を行うことが困難になってしまっている店舗も多いのではないでしょうか。

巧妙化する万引の手口

前述の状況に加え、さらに追い打ちをかけるように万引き対策を難しくしているのが、万引きの巧妙化です。

万引きといえば、個人の買い物客が商品をポケットやカバンに隠す方法を想像する方が多いでしょう。
しかし、近年ではそのような方法だけではなく、組織的に商品を盗み出す手口が存在します。

店員の注意を引く役と実際に商品を盗む役に分かれる、意図的に人垣を作り、その死角で商品を盗むなど、方法は様々です。

従業員の業務工数から考えても、このように巧妙化した万引きを察知し、対応を行うことは難しいと言えます。
また、コストをかけて万引きGメンのような専門スタッフを雇用すれば高い精度で万引きを防止できますが、人間である以上は精度にブレがあり、監視精度もスタッフの経験に依存してしまいます。
正当に買い物をしているお客様や、まだ万引きを行っていない人物に声掛けをしてしまうリスクもあるでしょう。

万引き対策に共通している懸念点として、以下の事項が考えられます。

人手不足

小売業界では人手不足が深刻化しています。
いつ起こるかわからない万引きを想定した従業員を確保し、常に十分な店員数で営業を続けること自体が難しい店舗も多いでしょう。

監視精度

多くの買い物客が訪れるスーパーマーケットでは、買い物客全員の行動を漏れなく確認することは容易ではありません。
店舗の従業員は、本来の業務をこなしながら万引き防止のために周囲に注意を向けている状態です。
巧妙化した手口の万引きを高い精度で発見し続けることは困難です。

これらの問題に対するアプローチとして、顔認証システムによる万引き対策が考えられます。
顔認証システムでは、カメラに映した顔をシステムが認識し、顔データの照合や分析を行うことが可能です。
近年ではデバイスとソフトウェアの進化により、人の挙動や複数人の中から特定人物を検知するなど、多くの機能が実現されています。

顔認証システムによる万引き対策

店舗運営において、顔認証システムは非常に多くのメリットを生み出します。
万引き対策はもちろんですが、さらに店舗運営コスト削減、サービス品質の向上を期待できます。

利用者の工夫により様々な効果を発揮できる顔認証システムですが、ここでは万引き防止対策や店舗運営でどのような活用方法が考えられるのかをご紹介します。

万引き防止対策

1.システムによる一貫した監視精度
顔認証システムのカメラデバイスは、その場の状況に惑わされることなく一貫した監視精度を常に維持することができます。
問題行動を検知した際もカメラで録画された映像を確認できるため、勘違いも起こりにくくリスクの低い運用が可能です。

2.要注意人物のデータベース化
注意が必要な人物をデータベースに保存し、複数店舗で情報共有を行うことができます。
各店舗がリアルタイムで最新の情報にアクセス可能となり、認識ズレの防止にも効果を発揮します。

3.要注意人物の入店検知
データベースに保存された要注意人物が入店した際、顔認証システムは該当人物を検知して各従業員へアラートを通知することができます。
複数店舗の要注意人物の情報を一元管理することも可能で、これまでと比べて素早く正確な情報共有を行うことができます。

店舗運営

1.勤怠管理
従業員の出退勤時に顔認証を行うことで、勤怠記録を作成することができます。
さらに自動検温を行えるデバイスであれば、従業員の体調管理にも役立ち、昨今の情勢の観点からも大きなメリットと言えるでしょう。

2.お客様の属性分析
買い物をしているお客様の属性(性別や年代など)を顔認証システムで分析することが可能です。
これにより、店舗からお客様にあわせた広告やクーポンを配信することができ、これまで以上に正確なアプローチを実現できます。
お客様の行動を促しやすくなるだけではなく、お客様の立場でも興味のない案内を受け取ってしまう頻度が減るため、満足度の向上にも繋がるでしょう。

3.顔認証決済
非接触決済は珍しくなくなりましたが、顔認証による決済も近年広がりを見せています。
これまでの非接触決済と比較し、顔認証決済はデバイスやカードの提示すら不要になることが大きな特徴です。
お客様の手間が軽減されるだけではなく、カードの不正利用や紛失のリスクがなくなるため、返金やカード会社への情報提供等の店舗側の工数削減にも繋がります。

顔認証システムを導入することで、万引き防止対策や店舗運営に大きな効果を発揮する例をご紹介しました。
上述した内容以外にも、店舗の考えやサービスにあわせた使い方をすることで、導入コストを上回るメリットを生み出すことも可能です。

まとめ

現状の万引き対策は人手に頼ってしまうシーンが多く、人材不足やコストの兼ね合いから十分な対策を取れない状態でした。
しかし、顔認証システムにより店内の監視を自動化することで、従業員が万引き対策に割く工数を削減することが可能です。
さらに店舗運営にも効果を発揮するため、単なる万引き対策としてのコストではなく継続的な経営戦略にも組み込めることが顔認証システムの大きな魅力です。

社会情勢も含め逆風が重なってしまうスーパーマーケットですが、今後のアプローチとしてぜひ顔認証システムをご検討していただければ幸いです。

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