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現代ではほとんどの組織がサイバーセキュリティの重要性を理解し、予算や工数をかけてセキュリティ対策を行なっています。
しかし、サイバー攻撃の被害は後を絶たず、重要な機密情報が漏洩してしまうといった報道を目にする機会も多いでしょう。

サイバー攻撃を防げない原因は多種多様ですが、その中のひとつにクライアント端末のセキュリティが挙げられます。
IDとパスワードの組み合わせログインする方式では、第三者に盗まれた、文字列情報が漏洩したといった場合に不正アクセスのリスクが急増してしまうためです。

そのリスクを抑制するために、近年ではPCで生体認証を活用し、セキュリティを高める仕組みが一般的に利用されています。

この記事では、PCで生体認証を利用することでどのようなメリットがあるのかを解説します。

PCで生体認証が普及している理由

近年では生体認証は珍しい技術ではなくなり、一般的なPCで広く利用されています。
PCで利用しやすくなった主な要因を解説します。

OSが生体認証に対応している

一般的なクライアント端末に搭載されているOSは、「Windows」と「Mac OS」が代表的です。
これらのOSはそれぞれ下記の通り生体認証に対応しています。

Windows:Windows Hello
Mac OS:Touch ID

※2023年1月現在、Mac OSは顔認証に正式対応しておらず、指紋認証のみ対応しています。

PCを利用する上で必ず必要となるOSが標準対応しているため、生体認証の利用ハードルは非常に低いです。
ノートPCであればデバイス自体に生体認証センサーが搭載されていることも多いため、各OSの案内に従うだけで生体認証をセットアップすることができます。
購入の際は利用しているOSとPCに対応した生体認証デバイスを選択しましょう。

認証デバイスが安価

認証デバイスが搭載されていないPCであっても、安価に認証用デバイスを用意することが可能です。
機能や性能により増減はありますが、顔認証、指紋認証それぞれ数千円で認証デバイスを購入することができます。
故障時にも気軽に交換できるため、デバイスの取り扱いも極端な慎重さは求められず、誰でも使いやすい環境が整っています。
また、多くの製品はUSBでPCと接続するだけで利用可能であることも一因です。

顔認証に特化した個別サービスの台頭

OS搭載の生体認証だけではなく、近年では生体認証システムをサービスとして提供している企業も多くあります。
生体認証システムのAPIを提供しているサービスも存在しており、OSや用途に縛られずに生体認証を活用することが可能です。

幅広く生体認証を活用するのであれば、OS標準搭載の生体認証では機能や応用するための柔軟性が不足する場合もあるでしょう。
認証速度や認証精度、クラウド上でのデータ管理など高性能な製品を検討することで、PCのログイン以外にも生体認証を活用することが可能となります。

このように、生体認証を利用するハードルが大きく下がっており、通常利用であれば専門的な知識も不要であることが生体認証の普及を後押ししていると考えられます。

一般的なPCで利用される生体認証の種類

PCでは、主に「指紋認証」または「顔認証」が利用されます。

指紋認証

指紋を使用して認証者が本人であることを確認する方法です。
指紋認証を利用するためには指紋を読み取るデバイスを用意する必要があり、指紋センサーが標準搭載されているノートパソコンも多く販売されています。
認証を行なう指に傷や汚れがある、濡れているといったシーンでは認証精度が悪くなってしまうことがあります。

顔認証

認証者の顔をカメラで認識し、本人であることを認証する方法です。
Windows Helloを利用する場合は、対応しているカメラを使用する必要があります。

光の当たり具合や顔の角度によって認証精度が変わりますが、一般的なオフィスや作業を行なう部屋であれば問題なく認証できることが多いでしょう。
指をデバイスに置く必要もなく、目線を向けるだけで認証が完了するため、認証の手間は非常に少ないと言えます。
また、顔情報は偽装が極めて困難であり、セキュリティ面でもメリットがあります。

ノートパソコンであれば生体認証を行なう機能が搭載されて販売されていることも多く、生体認証を利用しやすいと言えます。デスクトップパソコンであれば、別途認証用のデバイスを接続することで生体認証が可能となります。

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PCで生体認証を活用するメリット・デメリット

生体認証を活用することで、効率化やセキュリティの向上を見込めます。

メリット

ログイン作業の簡略化
IDとパスワードの組み合わせやPINコードでは、ログインを行なう度にキーボードからの入力作業が必要です。
セキュリティの観点では、少しの離席であってもPCをロック状態にすることが推奨されるため、1日の中でログインを行なう回数は少なくないのではないでしょうか。
生体認証であれば非常に小さな操作でPCへのログインが完了するため、ログインの手間を大きく削減することが可能となります。

ログイン情報の入力ミスや忘れがない
生体認証はデバイスが生体情報を読み取るため、入力ミスは起こりません。
また、生体情報は人間が記憶しておく必要も無いため、パスワード忘れの防止にもなります。
大人数の従業員が在籍している組織のIT部門では、パスワードロックや忘れの対応工数も少なからず存在します。
これらが解消されることで、利用者の利便性とIT部門の工数削減両方にメリットがあると考えられます。

情報漏洩の防止
キーボードから入力するIDやパスワードは、誰が入力しても同じ情報としてPCに認識されます。
そのため、アカウント情報が漏洩すれば誰でもPCにログインできる状況となるため、セキュリティリスクが大きいと言えるでしょう。
生体認証に利用する情報は、テキストのパスワード情報と比較して漏洩が起こりづらく、偽装も困難です。
メモ帳や付箋にパスワードを書いてしまうなどのインシデントを防ぐことにも繋がり、セキュリティ強度は向上すると言えます。

不正アクセスやなりすましの防止
第三者によるPCへのログインは、時に重大なセキュリティインシデントに繋がります。
入力された文字列を判定して認証する方式は、第三者にアカウント情報が漏洩してしまった時点で不正アクセスを受けるリスクが急増します。
生体認証であれば、情報漏洩のリスクが低いことに加えて偽装も困難です。
そのため、不正アクセスやなりすましの被害に遭うリスクは従来の認証方式と比較して低くなります。

デメリット

生体認証を行える環境を整える必要がある
指紋認証であれば指紋センサー、顔認証であれば顔認証対応のカメラを用意する必要があります。
また、認証デバイスが故障した際は生体認証を行えなくなるため、代替機を用意するまでは別の方法で認証を行なわなければなりません。

環境による影響
指紋認証では指の汚れや傷、水濡れなど、指紋の読み取りが困難になる場合があります。
顔認証であれば、光の当たり具合や顔の角度、経年的な顔の変化で精度に影響がでることもあります。
生体認証は高い認証精度を誇りますが、条件によっては認証精度が大きく下がってしまうことを理解しておく必要があるでしょう。
導入の際は、自身の環境で生体認証に影響を及ぼすシーンがあるのかを見直すことが大切です。

生体認証を活用することは基本的にメリットが多く、利用できる環境であれば利用するとよいでしょう。

手間を削減しセキュリティを向上させる生体認証

多種多様な業務で利用するPCは、利用者と管理者双方が効率的に取り扱えることが大切です。
その中で利便性を低下させるひとつの要因がパスワードの存在です。
PCやサービスへのログインパスワードはメモを取ることも禁止されるケースが多いため、利用者のパスワード忘れや管理者による対応は多くの組織で発生しているでしょう。
また、サイバー攻撃が高度化する現代では、攻撃者による入力を繰り返されたらいつかは突破されてしまう可能性があります。

生体認証によりこのようなトラブルやリスクに対処することで、情報漏洩やセキュリティインシデントを防止することに繋がります。
また、日常的なパスワードの記憶や入力の負担から解放されることも大きなメリットと言えます。
顔認証システムであれば、高いセキュリティと顔を向けるだけで認証が行なわれる利便性を両立することが可能です。

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