コラム

小売業におけるIT化とはどのようなものか。推進するためのポイントを解説。

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IT化を叫ばれて久しい現代ですが、働き方改革や非接触需要などによりその重要性は増加の一途を辿っています。

小売業界においても、大手企業はもちろん中小規模の店舗でも非接触決済やセルフレジの導入などIT化が浸透しています。小売業界ではIT化による業務効率化も大切ですが、消費者と直接的にやり取りを行なう店舗ではお客様の満足度向上も非常に重要な要素です。

この記事では、小売業におけるIT化の効果やITを推進するための考え方を紹介します。

小売業でITを導入する重要性

様々な業種でIT化を行なっていますが、小売業は現在抱えている課題解決や今後を見据えた店舗経営において、ITの力を発揮しやすい環境と考えられます。

人手不足対応

慢性的な人手不足に悩まされる小売業界では、店舗オペレーションの省力化や効率化が急務となっています。
労働人口が減少している現代では根本的な人手不足の解消は難しく、時代に対応した業務の形にシフトする必要があるでしょう。
IT化によりこれまで人間が行なっていた作業を自動化・効率化させることで、少ない従業員数で店舗運営を行なうことに繋がります。

多様化する消費者への対応

現代の消費者は多種多様な価値観で消費活動を行なっています。
近年では高級品やブランドなどでステータスを表現する価値観は薄れ、自らの体験や学び、所有にこだわらない価値観が増加しています。※1
特定の商品に多数の消費者が揃って興味を示すケースは減少し、消費者個人の価値観によって需要が分散されている傾向にあるのではないでしょうか。

そこで自店舗の商品をアピールするためには、消費者個人の趣味趣向に応じたレコメンドが重要となります。
そのためには大量の顧客情報を収集、分析する必要があり、IT技術はそのような情報処理を得意とします。近年ではコロナ禍による非接触需要が急増し、多くの店舗がキャッシュレス決済を導入しました。
これもIT化のひとつと言えます。

※1参考:経済産業省「新しい市場ニーズへの対応 世代ごとの消費行動について」

在庫管理

過剰在庫は店舗の管理費用を増加させるほか、廃棄や廉価販売に繋がります。
また、在庫不足であれば品切れによる販売機会の損失を発生させます。
そのため、店舗では可能な限り正確な需要予測を行ない、在庫を抱えず品切れを起こさないラインを見極めて発注を行なう必要があります。
近年ではAIによる需要予測が発達しており、高精度な発注を自動的に行なうサービスも登場しています。

店舗が抱える課題を解決するためのアプローチとして、IT化は大きな効果を期待できます。

ITを導入するためのポイント

ITは導入するだけで店舗運営が楽になるものではなく、明確な目的をもって着実に推進する必要があります。
ここでは、ITを導入するための基本的なステップを紹介します。

1.課題の確認

IT化を推進することで多くの課題解決を見込めますが、課題に対して適切なアプローチを行なうことが前提です。
まずは適切なアプローチを行なうために、具体的な課題を把握しましょう。
従業員の工数を圧迫して人件費がかさんでいる作業や、お客様からのクレームが目立つサービスなどを抽出・整理して網羅的に課題を確認します。

2.目的の明確化

1で抽出した課題を解決することを中心に、効率的な店舗運営や人材不足への対応など、IT化によりどのような効果を期待するのかを明確にします。
現代は小売業で活躍するITサービスが多く存在するため、自社が求める効果を期待できるサービスを選定することが大切です。
有料サービスはもちろん、無料サービスであっても導入には工数が必要となります。
無駄なコストを発生させないために、IT化を推進する目的を明確にしましょう。

3.IT化を実現するための人員を検討

IT人材やIT担当者が存在するなら、そこが中心となって推進することが一般的です。
しかし、小売業界ではIT人材が在籍していない企業や店舗も存在します。
シンプルなサービスを利用するのであれば、どの程度のサポートを受けられるのかを確認し、専門知識が無くても利用できるサービスを選定することも視野に入れると良いでしょう。
利用者のIT知識が前提となるサービスの利用であれば、長期的に見てIT人材の育成や新規雇用が望ましいと考えられます。
達成したい目的によっては、IT関連の外注も考慮する価値があります。

4.サービスの選定

2で策定した目的を達成するために、必要な機能を備えたサービスを選定します。
コストや運用難易度、サポートの品質を加味し、自店舗で問題なく利用できるものを選定することで、導入後のトラブルや想定との乖離を防ぐことに繋がります。
問い合わせフォームや窓口が用意されているサービスであれば、自店舗が実現したい環境を相談するのもよい方法です。
サービスによっては無料のお試し期間が提供されているため、上手く活用すると良いでしょう。

5.IT施策の推進

3で検討した担当者を中心として、IT施策に着手します。
事前に明確化した課題や目的を達成するまでには、予期せぬトラブルが発生することも多くあることを認識しておきましょう。
サービス提供元のサポートと連携するほか、時には自店舗のオペレーションをサービスの機能に合わせて変更することも必要です。
多くのサービスは利用方法の大枠を想定して開発されているため、その利用方法から大きく異なる店舗オペレーションではサービスの真価を発揮できない可能性が高くなります。

ITの導入には少なからず工数が掛かります。
しかし、店舗にマッチした環境を実現できればそれ以上の利便性を生み出すことを期待できます。

顔認証技術による小売業のIT化

スマートフォンのロック解除で身近になった顔認証施術ですが、小売業でも顔認証システムの活用が広がっています。

顧客情報の収集・分析

顔認証システムには登録された顔情報とカメラにかざした顔情報の同一性をチェックする機能もありますが、未登録の顔を分析して性別や年代を判定することもできます。
お客様の顔情報を分析することで、店舗に来店したお客様がどのような属性を持った人物なのかを判定し、データベースに情報を蓄積することが可能です。
これにより曜日や時間帯による来店者の偏り、立ち寄る区画などをこれまで以上に正確に把握し、ターゲットとする客層へのアプローチの適正化や新たな施策立案に繋がります。

また、属性に応じておすすめ商品を切り替えて表示することで、お客様が興味を持ちやすいプロモーション活動を行ないやすくなると考えられます。

決済の簡略化

顔認証決済の活用は着実に広がりを見せており、リアル店舗においても有効な決済手段と考えられます。
現在主流の非接触決済はスマートデバイスや各ICカードなど、決済情報が保存された物理的なモノを利用します。
そのため、紛失や盗難、自宅や車に忘れてしまうなど予期せぬトラブルが発生する恐れもあるでしょう。

顔認証であれば忘れや紛失の心配がなく、完全に非接触の決済を実現することが可能です。
前述した属性情報の判定と組み合わせることで、決済時にお客様にマッチしたクーポンを配布するなどのサービスも考えられます。

不審者の検知

リアル店舗で長年の問題となっているのが、万引き被害です。
万引きは単純に商品価格の損失だけではなく、その商品を提供するために割いた工数や陳列棚のスペース等、様々な損失を被ることになります。
しかし、万引きGメンの雇用や従業員が常にお客様の行動を見張ることはコストや店舗の雰囲気を損なう恐れもあるため、全ての店舗が満足いく対策を実施できているとは言えない状況です。

店舗内にカメラを設置してお客様の行動を映すことで、不審な行動を行なっている人物を検知することができます。
検知したタイミングで従業員への通知を行なえば、従業員は日常業務を行ないながら通知があった場合のみ、お客様へのお声かけなどの対応を取ることが可能です。
また他店で問題を起こした方の情報を共有していれば、入店したタイミングで従業員へ通知を送るなどの対応も可能です。

このようなIT化により、店舗のオペレーションは効率化され、お客様の満足度向上に繋がる施策立案にも繋がるのではないでしょうか。

IT化の推進で効率とサービス品質の両立を

様々な商品を取り扱い、不特定多数のお客様の対応を行なう小売業界は、ITの恩恵を受けやすい業種と考えられます。

大量の情報を処理して人間が活用することは、ITの得意分野であるためです。
さらに近年では小売業界に適したITサービスが多く登場しており、顔認証システムやAI、画像認識技術も実用レベルで利用できるようになりました。

ITシステムを上手に活用することで、経験の浅い従業員の生産性を向上させ、熟練者はより価値の高い業務にリソースを割ける環境に繋がります。

人手不足や買い物客の減少が課題となっている小売業では、IT化が現状を打開する有力な選択肢と考えることができるのではないでしょうか。

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