コラム

小売業で活用が広がるAIはどのようなものか。基礎知識とメリットを紹介

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AI技術が進歩した現代では、様々な分野でAIを活用したビジネス展開が盛んに行なわれています。
小売業界も例外ではなく積極的にAIを活用する企業が増加し、人の知識や経験、手作業が主力である店舗オペレーションにおいてもAIの活用が広がってきました。

現代のAIでは大量のデータ処理や分析はもちろん、画像認識技術を活用した来店客の行動調査や属性の判定など、これまでは人間の観察が必須であった業務であっても、ある程度代替できるものも登場しています。

この記事では、小売業界におけるAI活用のメリットや、どのような効果を期待できるのかを紹介します。

小売業でAI活用が広がる背景

小売業界はコロナ禍による影響を大きく受けただけではなく、慢性的な人手不足による長時間労働や賃金の低迷、廃棄による食品ロスなど、コロナ禍以前より様々な課題を抱えています。

人手不足

労働環境や賃金による人手不足もありますが、少子高齢化社会である現代では労働者の母数自体が減少しています。
リアル店舗において、店舗を開店するために店員となる従業員を確保することは必須です。
減少する労働者を近隣店舗同士で取り合う状況は、長期的な店舗運営を考えたときに大きな障害となる可能性は高いと考えられます。

廃棄問題

近年では、廃棄物を極力削減する必要性が世界的に叫ばれており、店舗で発生する廃棄物のひとつに、売れ残った不良在庫があります。
削減していくことは重要ですが、そもそも店舗としても不良在庫を出さないよう需要予測を行ない、在庫管理をしています。
それでも発生してしまう廃棄物を削減するためには、これまでと同様の方法では難しいのではないでしょうか。
従業員の熟練により需要予測の精度は上がりますが、そこまで人材育成するためには多くの工数が必要です。従業員が退職してしまえばそれまでの教育が無駄になってしまうことも課題となるでしょう。

これらの課題は、社会環境や構造上の課題など、店舗内の努力や工夫だけでは解決が難しい要素を含んでいます。
AIの活用によりこれらを解決するための新しいアプローチとなり得ることが、AIの活用拡大が進むひとつの要因と考えられます。

AIにより実現されること

AIを活用することで、解決が難しかった課題や熟練者に頼らざるを得なかった業務に対応しやすくなると考えられます。

在庫管理

倉庫にストックしている在庫はもちろん、商品棚の在庫管理システムもAIにより実現することが可能です。
カメラにより商品棚を写してリアルタイムに商品の増減をチェックし、補充が必要な際は従業員に通知を行なうことで、従業員による在庫チェックの工数を大きく削減します。

需要予測

過去の売上げデータを分析し、どの程度の需要が見込まれるのかを予測することができます。
これまでは知識や経験をもった従業員に依存していた仕入れが自動化され、最終チェックを人間が行なうといった作業であれば経験の浅い従業員でも対応が可能となるかもしれません。
熟練者のリソースを他の業務に回すことにも繋がります。

廃棄削減

AIによる適切な仕入れや在庫管理は、店舗の過剰在庫を防ぎ廃棄削減に繋がります。
多くの店舗で取り扱う商品は天然資源を消費して作られており、環境問題と密接な関係にあります。
近年ではSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」にて、食料廃棄やその他廃棄物の削減について謳われています。

直接的に生産に携わっていない小売店舗であっても、廃棄物の問題とは真摯に向き合う必要があり、在るべき姿を実現するためにはAIの能力が有効です。

人手不足解消

現代の一般的な店舗オペレーションでは、多くの業務に人的リソースを割いています。
AIにより人間の業務を代替することで店舗運営に必要な工数が削減され、人手不足への対応になると考えられます。
近年では清掃ロボットも一般化しており、家庭向けだけではなく店舗でも利用できる製品も登場しています。

AIの精度や柔軟性は今後も向上していくでしょう。
上手にAIを活用できることは、店舗運営において大きな力となるのではないでしょうか。

小売業でのAI活用事例

実際の小売業で、すでにAIの活用が広がっています。

AIカメラによる店内映像を分析

イオンリテールでは、店内映像をAIカメラで映して接客が必要な買い物客を感知するシステムを活用しています。
従業員からの声掛けは煩わしく感じる方もいる反面、欲していても店員が近くにいないなど、最適化が難しい業務でもあります。
AIカメラにより俯瞰的に店内を監視し、必要な方を通知するシステムであればお客様と従業員双方にメリットがある店舗オペレーションを実現することに繋がります。

AIによる需要予測

スーパーマーケットを展開するライフでは、AIにより気象情報やカレンダー、統計情報をもとに需要を予測し、自動発注を行なうシステムを稼働させています。
約2000商品で発注作業の工数削減を確認できているとしており、廃棄ロスや販売機会ロスの抑制に繋がっています。

AIを用いたファッションのトレンド予測

三陽商会ではAIにより世界中のメディアやSNSからファッション情報を収集し、ビッグデータとして解析することでファッショントレンドの予測を行なうシステムを活用しています。
これにより企画の精度が高まりロスを抑制すると共に、売れ残りや廃棄の削減にも繋がると考えられます。

AIはサービスを上手に活用することや、使い方のアイデア次第で企業独自の価値を創造することも期待できます。
これにより企画の精度が高まりロスを抑制すると共に、売れ残りや廃棄の削減にも繋がると考えられます。

AIを活用することの重要性

AIはこれまで必要性が理解されながらも、対応が難しかった問題を解決する可能性を持っています。
また、業務効率だけではなく地球環境に対してどのように向き合うべきなのかは、人類共通の課題とも言える時代です。SDGsでも提言されているように、小売業と深く関係のある廃棄問題は、小売業では無視できない課題のひとつでしょう。
AIを上手に活用することで、これまではそれ以上減らすことが難しかった廃棄を大きく削減できる可能性があります。

環境に配慮し、ブランドイメージが向上することで、ビジネスにとってのメリットが生じることも期待できます。
今後の発展が期待されるAIを自店舗でどのように活用できるのかを視野に入れ検討することは、現時点での導入を行なわなくても将来に繋がる財産となるのではないでしょうか。

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